Aperitivo

突然ですが、みなさんがどこかへ旅行する場合、その旅行には何か目的がありますか?
例えば、リゾート地でゆったり過ごして日頃の疲れを取りたい、歴史的な建造物を見てその土地の文化や歴史について学びたい、大自然の中をぶらぶら歩いて気分 をリフレッシュさせたい、特別なイベントに参加したい・・・などなど。同じ場所に行くとしても、人それぞれに様々な目的があると思います。

私の場合、その土地独自の料理、つまりは”郷土料理”や”名物料理”といったものを食べるために旅行することが多いです。それは時に、地元の食材を使った料理ということだけではなく、変わった食べ方や食べる順番になっていることもあります。慣れていない人は「なんだか変な食べ方だな」とか、「自分の好きな順番で食べさせてくれ!」と思ってしまうかもしれません。ですが日本には、”郷に入っては郷に従え”という言葉があります。地元の食べ方や順番をまねることで、自分もその土地の一員になったような、そんな気分で料 理を味わうことができ、普通に食べるよりも美味しくなることだってあるかもしれません。そういう料理に出会った場合、私は、”郷に従って”料理を味わうよ うにしています。みなさんもぜひ、”郷に従って”料理を味わってみて下さい。

さて、それでは本題、イタリア文化についてですが、今回は日本とイタリアの食文化の違いについて書きたいと思います。食文化の違いとひとことで書きました が、国が違うという時点で当然それは大きく異なるものになります。そこで今回は、食文化の違いの中でも特に私が最近気になっている、イタリアにあって日本 にはないもの、”Aperitivo:食前酒”と”Digestivo:食後酒”に焦点を当てたいと思います。まずは”Aperitivo:食前酒”につ いて書いていきます。
Aperitivoとは、ラテン語で”開く”という意味の”Aperitivu”が語源とされていて、それがフランス語では”Aperitif”になり、イタリア語ではAperitivoになりました。
このAperitivoですが、日本語で ”食前酒” と書く通り、食事の前に飲むお酒です。最初にこのことを知った時、イタリア人はなんてお酒好きなんだ!と思ってしまいました。私個人の感覚では、お酒は料 理と一緒に飲む物(食中酒といえばいいのでしょうか)であり、その前にさらにお酒を飲むとはなんたること!と思ってしまうのです。イタリア人は陽気な性格 だから、お酒を飲んで楽しくなりたいんだな〜と一人で納得してしまったのですが、少し調べてみると、ただお酒を飲みたいだけではないようです(注意:決してイタリアの人たちを馬鹿にしているわけではありませんので!笑)。
Aperitivoにはちゃんとした効果というか意味があって、食事の前に軽くお酒を飲むことで胃を刺激してやり、胃液の分泌を促す効果があるようです。ようするに、家に入るときのノックやチャイムのような役割でしょうか・・・それをすることでドアを開けさせる。ちょっと違うかな?

まぁ、食事を楽しむためのお酒だというのは間違いないと思います。イタリア料理のコースでも、まず初めにAperitivoで、その後にAntipastoなどが続きます。食事作法も、ちゃんと考えられて決められているんですね。ですが、イタリア人とて毎日毎日その食事作法に則って食事をしているわけではありません。適当な”Bar:バール”でAperitivo、その後 “Ristorante:リストランテ”で食事という風に簡略化されているようです。最近では、Barで食事まで済ませられるようになっている所もあるそうです。時代のニーズに答え、このような仕組みになってきているんですね。
さて、そのAperitivoですが、よく飲まれているのは、”Vermut:ベルモット”、”Campari:カンパリ”、”Spumante:スプマン テ”などで、それらを使った”Cocktail:カクテル”も同様に飲まれているようです。Vermutにはスイートとドライがあり、イタリアのピエモンテ地方などで製造されていたのがスイートベルモットです。スイートというだけあって甘味がありますが、ハーブやスパイスを加えているためほんのり薬草の味というか苦みがあります。実は最近、”Cinzano Rosso”を買って飲んでいます。まさに食前酒として、でもたまに食中酒として!これで私もイタリアを感じることが出来る!?かは不明です。笑私も早くイタリアへ旅行に行き、このAperitivoという習慣というか仕組みを体験したいです。
広場に並んだたくさんのテーブル。そこでは皆がAperitivoを飲みながら楽しい話に花を咲かせている。さて、そろそろリストランテで食事としようか。今日は”Spaghetti alla Bolognese:スパゲッティボロネーゼ”にしようかな!
・・・な〜んて、言ってみたいものです。それでは次回は食事の後に飲むお酒、”Digestivo:食後酒”について。

Ciao, ciao!
テッペイ

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