月桂樹の冠

 先日、六本木にて開催中のポンペイの壁画展を見に行ってきました。

この展覧会は、日伊国交150周年を記念して開催されている数々の展覧会のうちの一つです。西暦79年に起こったヴェスビオ山の噴火によって、長い間灰の下に埋もれていた壁画が、こうして今日本で見ることができるというのは不思議な感じです。

 壁画に描かれているのは、建築や肖像画や動

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Dante

物の絵もありましたが、主にギリシャ神話のモチーフという印象を受けました。

その中でも私が気になったのは、月桂樹の冠を頭に載せた男の人でした。彼は壁画の下の方に小さく描かれていたのですが、月桂樹の冠をかぶっているのが彼くらいなものだったので不思議に思ったのです。

 この月桂樹の冠は、詩人を表すモチーフだそうです。これは、古代において詩作のコンテストの優勝者に月桂樹の冠が与えられていたからだそうです。そういえば、詩の形式で『神曲』を書いた偉人ダンテも月桂樹の冠をつけていますね。

 この月桂樹の冠を授与するというのは、アポロンとダフネーの逸話に由来しているということです。

アポロンといえば、太陽神であり様々な方面で万能な神様で、牧畜、芸術、医療の神様と一人で何役もこなし、また理想的な青年として描かれていました。

そんな人気者の彼ですが、愛を司る神様であるクピドの矢の腕前をからかってしまいます。クピドは仕返しに、アポロンには恋に落とさせる金の矢を、河の神を父に持つダフネ―には愛情を拒絶させる鉛の矢を打ち込みます。そのため、盲目的に恋に落ちたアポロンがどんなにダフネ―に言い寄っても、ダフネ―は拒んで逃げてしまいます。

このようなおいかけっこが続き、アポロンはついにダフネ―に追いつき抱き寄せようとします。この瞬間に、アポロンを拒絶し続ける疲れ果てたダフネ―は、アポロンから逃れるための最終手段として、父である河の神に頼み込んで自分を樹に変えてもらうことを選びます。オリーブの樹にすっかり変身してしまったダフネ―を見たアポロンは、ダフネ―の思い出としてその樹から葉っぱを摘み、それで月桂樹の冠をこさえて常に身につけていたということです。これが有名なアポロンとダフネ―の物語です。

ダフネ―のこの変身の場面をとらえた作品で有名なものに、ベルニーニによって彫られた彫刻があります。これはローマのボルゲーゼ美術館で見ることができます。

 詩作を含む芸術の神様であったアポロンが月桂樹の冠を常に身につけていたため、アポロンに捧げられた詩作のコンテストでの優勝者には、アポロンと同じ月桂樹の冠が贈られたのです。77476056059087390lyexso3wc

 月桂樹の冠は古イタリア語でlaurea と言います(現在はcorona d’alloro の方が一般的) 。一方現在ではlaurea と聞くと、大学の卒業のことがすぐ頭に浮かびます。イタリアの大学を卒業するとき(laurea) には、卒業者(laureato) が月桂樹の冠(laurea) をかぶります。そしてその冠の葉っぱには、幸福を象徴するというテントウムシが隠れてちょこんと乗っていて、とてもかわいいです。

 ローマ・ギリシャ神話は、芸術作品において当然のように出てきたり、日常生活においてもさりげなく姿を現します。イタリアの文化の基礎を成す一部分なのだと再確認しているところです。

ポンペイの壁画展公式サイト

http://www.tokyo-np.co.jp/pompei/

マイ

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